2025.10.11

映画『トロン:アレス』ジャパンプレミア レポート

今年の「サンディエゴコミコン」で最も印象的だったのが、映画『トロン:アレス』のパネルディスカッション。作品の世界観を取り入れた演出に鳥肌が立つほど痺れ、「これは絶対にIMAXで観賞せねば……!」と心に誓ったのでした。

それから早2ヶ月、映画『トロン:アレス』公開前日の10月9日(木)、東京・新宿TOHOシネマズ10番スクリーンで同作のジャパンプレミアが開催。編集部も参加し、自分たちとの約束(=IMAXでの観賞)を無事に果たすことができました。

映画『トロン:アレス』とは

世界初の長編映画としてCGを本格導入し、映像エンタメの歴史を切り開いた映画『トロン:オリジナル』。同シリーズの3作目が『トロン:アレス』です。

前2作は、人間がデジタル世界へ入り込むという設定でしたが、今回は逆のパターン=デジタルが人間世界に侵食するという設定になっています。

〜ストーリー〜
2つのテック企業、エンコム社とディリンジャー社は長年にわたってライバル関係にあり、しのぎを削ってきた。

かつてエンコム社のトップ開発者だったケヴィン・フリン(演:ジェフ・ブリッジス)は失踪し、20年後にケヴィンの親友アラン(演:ブルース・ボックスライトナー)と、ケヴィンの息子サム(演:ギャレット・ヘドランド)が会社を牽引することに(※ここまでが『トロン:オリジナル』『トロン:レガシー』の物語)。

その後、エンコム社の業績は低迷するも、イヴ(演:グレタ・リー)とテスのキム姉妹によって救われる。2人は優れた開発能力を発揮して会社を立て直すが、テスは突然の病で帰らぬ人になってしまった。

一方ディリンジャー社は、母エリザベス・ディリンジャー(演:ジリアン・アンダーソン)からCEOの座を引き継いだジュリアン・ディリンジャー(演:エヴァン・ピーターズ)が、革新的な発明を関係者向けに発表。それは、特殊レーザーを駆使し、デジタル内のプログラムを現実世界で実体化させるテクノロジーだった。この技術があれば、戦車も武器もその場で調達可能。さらには、最強の軍事用人型AI兵士アレス(演:ジャレッド・レト)も実体化に成功したという。

関係者からの評判は上々だったが、ジュリアンのプレゼンはハッタリ。というのも、同技術の大きな問題点―プログラムの実体化は29分間限定―ということを隠していたのだ。

同じ頃、イヴもプログラム実体化テクノロジーの開発に注力。亡き妹テスのメッセージを頼りにアラスカへ飛び、ケヴィン・フリンの残したマシンから“29分の壁”を突破する「永続コード」を見つけることに成功した。コードを手にエンコム社に戻ろうとするが、ジュリアンに「永続コード」の存在を知られてしまう。

ジュリアンは、イヴを誘拐するためにAI兵士のアレスとアテナ(演:ジョディ・ターナー=スミス)を実体化。アテナは忠義心揺るがず淡々と任務に従事するが、アレスは現実世界に触れたことで、自身が使い捨てであることに疑問を持ち始めるのだったー。

▼『トロン:アレス』予告編▼

Tron:Ares Japan Premiere

作品上映前のトークイベントは、MC TAROさんによる呼び込みで、日本版吹き替えのメインキャスト、諏訪部順一さん(アレス役)、内田真礼さん(イヴ役)、石川界人さん(ジュリアン・ディリンジャー役)、田村睦心さん(アテナ役)が登壇。

内田さんと石川さんは夫婦として公の場に出るのが初だったため、祝福ムードでイベントが始まりました。

まずは、それぞれキャラクターを演じる際に意識したことなどをコメント。

諏訪部さん「アレスが現実世界で一体どのようなことを感じ、どう変化していくのか、という点において、非常に心を尽くしました。されとてプログラムなので、“あまり人間っぽく感情表現をしないように”というディレクションもいただきました。でも、意外と(アレス役の)ジャレッド・レトさんは目がチャーミングですごく情感を感じてしまうので、つい気持ちが乗ってしまう部分もあり、『もっとプログラム感を出してください』というリテイクすることも多々ありました

内田さん「イヴの強い面をちゃんと出せたら良いなと思って演じていました。友人と喋っている時と社長として喋っている時の温度感(の違い)だったり、アレスと出会ってからの彼女は、不思議な友人を持ったようで、人間らしさが出てくると思うので、その辺りの感情の流れを意識しながら演じました

石川さん「プレゼンテーションする場面もあるCEO役なのでカリスマ性が欲しい、とリクエストをいただきました。と同時に、カリスマ的な人物は自分が聞かせようとしなくても皆が話を聞いてくれるものなので、そこまでやりすぎなくて良いとも仰っていただき、そこからお芝居を作っていきました。ジュリアンは社長としての顔もありつつ、どこか人間臭さもあります。物語が進んでいくとその面が出てきて、僕は可愛らしいと思いました

田村さん「アテナはアレスと対極に位置するような、命令を遂行するために非情な行動もとるキャラクターです。命令を忠実に聞くのですが、その目や呼吸は、プログラムなのにどこか感情的に思えるような瞬間もあったりして。でもAIなので、やりすぎない程度に感情表現を出そうと頑張りました

作品鑑賞後の率直な感想について、諏訪部さんは映像表現の素晴らしさを絶賛しつつ、吹き替え版も自信を持ってオススメできるとアピール。

内田さんは、大スクリーンで見たアクションシーンに圧倒されたと話し、ライトサイクル以外の乗り物(?)について、身体を駆使して紹介。諏訪部さんと石川さんと田村さんもネタバレしないように擬音語を交えながら、その乗り物を見た時の興奮を表現していました。

続けて、『トロン:アレス』を応援するスペシャルゲストとして、同作のキーカラーを身に纏った安藤なつさん(メイプル超合金)と堀田茜さんが登場。「ハロウィンが近いので相方のコスプレをしてきました〜」とボケる安藤さんに、会場から笑いが起こります。

作品にちなんだ「ふだんAIと接触しているか」という質問に対し、安藤さんは自己肯定感を上げるためにChatGPTと会話をしていると明かし、堀田さんもChatGPTは心強い友達のような存在だと話しました。

ここで、もう1人のスペシャルゲストとして、ダンディ坂野さんがAI兵士のコスチュームを身につけ、“AI芸人”として姿を現しました。

作品内の設定同様、AIダンディさんも29分間の命。劇場スクリーンに残り時間のカウントダウンが表示されました。AIダンディさんを救う「永続コード」を手に入れるため、登壇者全員でミッションに挑みます。

最初のミッションは、ジェスチャークイズ計2問。「『トロン』と言えば◯◯」の◯◯を、AIダンディさんがジェスチャーで表現し、他の人が当てるというものでした。

1問目の答えは「ライトサイクル」、2問目の答えは「アイデンティティディスク」でしたが、皆AIダンディさんをわざと消滅させようとしているかと思えるほど、アフレコをしたり、ボケ倒したりで、痺れを切らしたAIダンディさんついが喋ってしまう一幕も。和気あいあいとした時間が流れます。

ラストミッションは、以心伝心ゲーム。「『トロン:アレス』の一番の見どころは◯◯」の◯◯を全員で答えを合わせる、というものでした。それぞれの回答は、「ブリトー美味しそう」(安藤さん)、「赤い」(石川さん)、「ライトサイクルのかっこよさ」(内田さん)、「全部」(諏訪部さん)、「アトラクションみたいな映像」(田村さん、堀田さん)。6人中2人しかマッチしておらず、ミッション失敗!

AIダンディさんを強制退場すべく、AI兵士2人が参上します。『トロン:アレス』のメインテーマであるナイン・インチ・ネイルズ「As Alive As You Need Me To Be」の曲に合わせて小躍りするAIダンディさん。「皆さんまた会いましょう、ゲッツ&ターン、あばよ!」と披露した後、明るく退場していきました。(しかし、最後の記念撮影では復活)賑やかな雰囲気の楽しいジャパンプレミアでした。

映画『トロン:アレス』箇条書きレビュー

トークイベント後は、映画『トロン:アレス』IMAX字幕版が上映(あの流れでは吹き替え版を観たかったところですが……)。さて、待ちに待った同作は期待を裏切らず、良きエンタテインメント作品でした。

✔️ IMAXで観ると没入感がすごくてアトラクションみたい(乗り物酔いする方はご注意)

✔️ ナイン・インチ・ネイルズの重低音がビリビリと感覚を刺激する(映像との相乗効果よ……!)

✔️ 目も耳も忙しいので吹き替え版の方が良いかもしれない(今回観たのは字幕版)

✔️ デジタル世界のチェイスシーンにおけるジャレッド・レトの色気がすごかった(長髪スタイルが大変良い)

✔️ ジョディ・ターナー=スミス演じるアテナ、恐ろしいけれど格好良い(ター◯ネーターを思い出した)

✔️ 『トロン:オリジナル』『トロン:レガシー』を観てからの方がより楽しめる(前2作も面白いよ!)

みなさん、核心に迫るようなネタバレをうっかり目にする前に“IMAX”で観ることをオススメします!

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