2025.8.11

サンディエゴコミコン2025レポ:『トロン:アレス』パネル

世界初の長編映画としてCGを本格導入し、映像エンタメの歴史を切り開いた映画『トロン:オリジナル』。2025年10月、同シリーズの3作目『トロン:アレス』が劇場公開されます。

前2作は、人間がデジタル世界へ入り込むという設定でしたが、今回は逆パターン。とある危険なミッションのため、高度なプログラム“アレス”がデジタル世界から現実世界へ送り出される、というストーリーに。

また、前作『トロン: レガシー』ではダフト・パンクが音楽を担当し、世界観の構築に貢献していましたが、今回はその役割をナイン・インチ・ネイルズが担っています。

▼『トロン:アレス』予告編▼

そんな同作のパネルディスカッションが、今年の「サンディエゴコミコン」(SDCC)の2日目(=7月25日金曜日)に開催。

『トロン:オリジナル』で監督・脚本を手がけ、『トロン: レガシー』『トロン:アレス』のプロデューサーを務めたスティーブン・リズバーガー、監督のヨアヒム・ローニング、主演のジャレッド・レトをはじめとするキャストたちが登壇しました。

Tron:Ares Panel at Hall H

ホールの照明が消えると、赤と青のレーザー光線が会場に広がります。『トロン:アレス』の戦士たちによる行進が始まりました!

サプライズパフォーマンスによる興奮で熱気がこもるなか、豪華ゲストが次々とステージに現れます。

スマホ片手に登場したジリアン・アンダーソン。

本作で悪役デリンジャーを演じた、エヴァン・ピーターズ。

アレスの仲間アテナを演じた、ジョディ・ターナー=スミス。

アレスの協力者イヴを演じた、グレタ・リー。

主人公アレス役を演じ、本作の共同プロデューサーでもあるジャレッド・レト。

そして、『トロン』シリーズに欠かせぬベテラン俳優、ジェフ・ブリッジス。

合計11名と大人数のパネルです! 写真左から、プロデューサーのスティーブン・リズバーガー、監督のヨアヒム・ローニング、俳優のジャレッド・レト、ジェフ・ブリッジス、グレタ・リー、ジョディ・ターナー=スミス、エヴァン・ピーターズ、ジリアン・アンダーソン、ハサン・ミナジ、アルトゥーロ・カストロ、キャメロン・モナハン。

まず話題を振られたのは、ジェフ・ブリッジス。再び『トロン』ユニバースに参加したことについて尋ねられると「最高だ」と答え、こう続けました。

考えてもみてごらんよ。1982年、つまり43年前だなんて、信じられる? しかもその物語が今も続いているだなんて、驚きだよね。彼(スティーブン・リズバーガー)が創造したこのとんでもなくワイルドな世界の一員になれるのは本当に楽しい。今、人工知能というテーマが人々の関心を集めているけれど、その物語の一部になれることは大きな喜びだよ。新しい要素も加わって、ますます魅力的な世界になっているし。こうして、グリッド(=コンピューターの内部世界)は生き続けるんだ

スティーブン・リズバーガーは、『トロン』シリーズの“核”を語り、ブリッジスへのラブコールも忘れませんでした。

私が『トロン』で最も大切だと考えているのは、テクノロジーに振り回される前に、芸術的に使いこなす、ということです。未来に関する暗いニュースばかりを聞くのはうんざりですし、それを避けるためには、本作のスタッフのような素晴らしく才能のある人々を集め、この技術で何ができるのかを若い世代に伝え、刺激を与えることが必要だと思います。それこそが、『トロン』の真髄なのです

そしてもうひとつ、『トロン』を初期から支えてきたものがあります。それはジェフ・ブリッジスの勇敢な演技です。カメラの前で、彼ほど勇気のある人物はいません。彼は初めから『トロン』にとってかけがえのない存在なのです

今回シリーズに初めて加わったヨアヒム・ローニング監督は、自身にとってチャレンジングな経験だったと話します。

この企画にはすぐに惹き込まれました。私は『トロン』シリーズが大好きで、リズバーガーやジョセフ・コシンスキーが手がけた過去作は、多くの点で傑作だと思っています。元々SF映画を作ることは私の夢でしたし、今回のテーマはとても興味深く、さらに捻りが効いています。デジタル世界の存在が現実世界にやってくる——その発想はとても魅力的で、自分なりに新しいものを加えられると感じました。ただ、求められるクオリティのハードルは非常に高かったです

それでも、この制作過程は素晴らしい道のりでしたし、本作は間違いなく映画館で観てほしい作品へと仕上がっています。私は常に劇場公開を前提に作品を作っていますが、『トロン:アレス』のような映画は、それがほぼ確実に実現する作品だと思います。そして、この素晴らしい仲間たちと共に制作できたことが、最高の体験となりました

主演を務めたジャレッド・レトも、『トロン』の大ファン。もしキャスト側でなければ、今日は間違いなく観客席から声援を送っていたと述べ、作品への愛を語ります。

『トロン』に惹かれた理由ですか? それは1982年、まさにビデオゲームが爆発的に広まり、映画が私の人生の大きな一部だった頃に出会ったからです。見たことのない世界へと連れて行かれ、想像力を揺さぶられ、『世界ではこんなことが可能なのか』と教えてもらいました。そこには、今隣に座っている彼(リズバーガー)と、ここにいる私のヒーロー=ジェフ・ブリッジスの天賦の才が大きく関わっています

若い頃、何を支えにすれば良いのか分からない日もありました。そんなとき、このような作品が私に夢を与えてくれたのです。本作は、構想から9年……いや10年になるのでしょうか、“アレス”という言葉から始まった企画です。そして今、こうしてこの素晴らしい仲間やキャストと一緒に舞台に立てていることは、本当にかけがえのないことです。心から感謝しています

レトは憧れのブリッジスとの撮影初日、喜びのあまり挙動不審になってしまったと打ち明け、ブリッジスもはにかみます。

思わず『カット!』って言ってしまったのです。普段はあまりそういことをしないので、皆驚いていました。すると、助監督がやってきて、『大丈夫ですか? 何かありましたか?』と。私は『ただ、自分の大好きな相手と仕事をしていて、笑顔が止まらなくって』と答えたのです

イヴを演じたグレタ・リーは、「単にライトサイクルに乗りたかったから、事務所に『ライトサイクルに乗れる“何か”を探して』と頼んだ」とジョークを飛ばすなど、終始ハイテンション。

その理由は、史上最高クラスのフランチャイズの一員となり、著名なキャストやクルーと共に素晴らしい作品を創り上げることができ、SDCC初参加にして最大のステージに立ったから、のようです。率直な気持ちをコメントしていました。

数日前に映画を観て、もう10月まで待てない気分です。興奮で胸がいっぱいで、本当に爆発しそうです。どうやって耐えればいいのか分からないくらいです。この映画は、熱狂的なファンのための作品である一方で、新しい観客を迎え入れるチャンスも持ちあわせています。そんな映画に関われるのは、とても光栄なことです。多くの人々を繋げることができる、非常にワクワクする作品になっていると思います

この日上映された映像によると、アレスの仲間アテナは、アレスとイヴを執拗に追いかけるようです。アテナ役のジョディ・ターナー=スミスは、キャラクターにまつわるヒントを明かしました。

アテナとアレスは同志であり、戦友です。アレスが目覚め、あるいは不具合を起こしている間に、アテナもまた自分自身の変化を体験します。しかし、その変化はアレスのものとは異なり、より感情的で思いやりに欠ける方向へ進んでいると思います

悪役デリンジャーを演じたエヴァン・ピーターズは、役作りについて聞かれるも、多くは明かさず。「ただ、監督の腕が良かったから」と謙遜していました。

そんなデリンジャーの母を演じたジリアン・アンダーソン(※『X-ファイル』のスカリー役で有名)は、司会者の冗談に乗っかって、「“SF作品は初めて”だから、この世界に入り込むのは楽しかった」とコメント。

そのままおふざけモードへと突入し、ハサン・ミナジ、アルトゥーロ・カストロ、キャメロン・モナハンは、『トロン:アレス』はセットの作り込みがすごかったと絶賛しつつ、小道具の持ち出しという悪事を暴露→公開謝罪するなど、笑いを誘っていました。

ステージを締め括ったのは、『トロン:アレス』のオリジナルサウンドトラックのリード曲、ナイン・インチ・ネイルズ「As Alive As You Need Me To Be」の特別なミュージックビデオです。

ライトサイクルが走るフューチャリスティックな映像とレーザー光線、そしてヘヴィかつグルーヴ感あるインダストリアルサウンドの融合……めちゃくちゃ痺れました!! 「『トロン:アレス』は絶対にIMAXで観るべき」と思わされたのでした。

Tron:Ares × NIN Booth

SDCC会場では、『トロン:アレス』とナイン・インチ・ネイルズのコラボブースも出展。オリジナルサウンドトラックが流れるなか、ライトサイクルに乗って記念撮影ができるコーナーが設けられていました。

また、レコード(25ドル=約3,750円)、Tシャツ(45ドル=約6,750円)、フーディ(65ドル=約9,750円)も販売。

レコードは2500枚限定盤で、プレビューナイトの時点で飛ぶように売れ、1日目早朝の時点ですでに1900番台! おそらく1日目の正午までに売り切れていたことでしょう。

オリジナルサウンドトラックは、9月19日リリースです!

▼ナイン・インチ・ネイルズ「As Alive As You Need Me To Be」リリックビデオ▼

#サンディエゴコミコン

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